要約
国税庁の相続税調査強化を受け、相続手続きの無資格代行リスクが急浮上。行政書士法の両罰規定と2026年改正の罰則強化を踏まえ、委託先の資格確認が急務。
国税庁が相続税調査を強化——無資格代行が狙われやすい理由
行政書士法上、相続手続きに関する書類作成は有資格者のみに許された業務だ。国税庁が公表した「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(令和7年12月)および「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」によれば、相続税の課税件数・調査件数はいずれも高水準で推移している。行政が相続に関する申告・申請を精査する目が厳しくなるほど、無資格代行による書類作成の不備や違法行為が表面化しやすくなる。法務・コンプライアンス担当者は、この点を業務委託先の選定において最重要リスクとして認識すべきだ。
行政書士法の「両罰規定」と相続手続きアウトソーシングのコンプライアンス
行政書士法第19条は、行政書士でない者が業として官公署提出書類を作成することを禁じている。相続手続きで発生する遺産分割協議書の作成・相続関係説明図の整備・各種役所への届出書類の作成は、いずれも行政書士の独占業務に該当し得る。問題は、企業が外部の「代行サービス」や「士業コンサル」と称する無資格業者に委託した場合だ。行政書士法第22条の2に規定される両罰規定により、依頼した法人側にも罰則(100万円以下の罰金)が科される可能性がある。国税庁の調査強化によって申告内容の精査が進むと、添付書類や手続きの経緯までさかのぼって調査されるケースが増加する。そこで初めて「依頼先が無資格業者だった」と発覚する事例が後を絶たない。
2026年改正行政書士法が変える「無資格代行」への制裁水準
2026年の行政書士法改正では、無資格者による業務提供への罰則強化と、名義貸しへの対応厳格化が柱となっている。従来は比較的軽微とみなされていた書類作成の「お手伝い」程度の行為でも、報酬を得ていれば摘発対象となり得る。相続手続きは感情的・金額的にも当事者の関与度が高く、トラブルが発生した際に行政書士会や警察への告発につながるケースが増えている。改正施行後は、行政書士資格を持たない者が相続書類作成を業として請け負った場合の摘発・告発リスクは従来比で格段に上昇する。
法務・コンプライアンス担当者が今すぐ取るべきアクションは明確だ。①現在委託中の相続手続き支援業者が日本行政書士会連合会の登録を受けた行政書士かどうかを確認する、②業務委託契約書に資格要件確認条項を明記する、③社内の稟議フローに「委託先資格確認」ステップを追加する——この3点を優先して整備してほしい。国税庁の調査強化と行政書士法2026年改正が重なる今こそ、相続手続きにおけるアウトソーシングの適法性を総点検する最大の機会だ。
よくある質問
- Q.相続手続きを外部に委託するとき、どうやって行政書士かどうか確認できますか?
- A.日本行政書士会連合会の「行政書士検索」で氏名・事務所名から登録の有無を確認できます。契約前に必ず照合してください。
- Q.無資格業者に相続書類作成を依頼した企業も罰則を受けますか?
- A.行政書士法の両罰規定により、依頼した法人も100万円以下の罰金が科される可能性があります。発注側のリスク管理が不可欠です。
- Q.2026年改正行政書士法で相続手続きの無資格代行はどう変わりますか?
- A.罰則の強化と名義貸しへの対応厳格化が柱で、報酬を得た無資格業者への摘発・告発リスクが大幅に上昇します。委託先の資格確認が急務です。