要約
行政書士法制定75年の節目に、2026年改正と無資格代行・両罰規定のリスクを解説。委託先管理など企業の法務・コンプライアンス担当者向けに実務対応を整理する。
行政書士法制定75年——いま「無資格代行」が再び問われる理由
行政書士法は1951(昭和26)年2月に成立し、2026年で制定から75年を迎える。日本行政書士会連合会によれば、同法は「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理」を行政書士の独占業務と定めている。節目の年に、なぜ無資格代行が改めて注目されているのか。その背景には、2026年改正行政書士法の施行準備と、デジタル庁が進めるアナログ規制見直し(RegTechミートなど)によって許認可申請のオンライン化が急速に拡大し、「誰でも簡単に代行できる」という誤解が広がりつつある実態がある。
無資格代行の違反リスクと両罰規定——法務・コンプライアンス担当者が押さえるべき論点
行政書士法第19条は、行政書士または行政書士法人でない者が、業として同法の定める書類作成・手続代理を行うことを禁止している。違反した場合、同法第21条により1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。さらに重要なのが両罰規定(第23条)だ。違反行為を行った従業員だけでなく、その使用者である法人にも罰金刑が適用される。つまり、「外注先に任せていた」「担当者が勝手にやった」では済まない。企業が業務委託・アウトソーシング先の資格の有無を確認しないまま農地転用申請や産業廃棄物処理許可、帰化申請などを依頼し続ければ、会社ぐるみで罰則対象になるリスクを抱える。
2026年改正では、行政書士の監督規定や業務範囲の明確化が盛り込まれる方向であり、取締りの網がこれまで以上に細かくなることが予想される。名義貸し(資格者の名前だけを借りて実務は無資格者が行う形態)についても厳格化が議論されており、コンプライアンス部門は委託契約の見直しを急ぐ必要がある。
企業が今すぐ実施すべき3つのチェックポイント
①委託先の資格証明を取得・記録する:行政書士への委託であれば、登録番号と所属会の確認を文書化しておく。毎年度更新時に再確認するルールを設けると確実だ。
②「代行サービス」の実態を精査する:近年、許認可申請の「代行サービス」を標榜するウェブサービスが増加している。サービス提供者が行政書士資格を持つかどうか、または有資格者が業務を監督しているかを契約前に確認することが不可欠だ。
③社内マニュアルに行政書士法の禁止規定を明記する:法務・コンプライアンス担当者だけでなく、総務・経理・調達担当者にも周知する。アウトソーシングの稟議フローに「資格確認」の審査項目を追加するだけで抑止力は格段に高まる。
制度発足75年を迎えた行政書士制度は、デジタル化の波を受けてその存在意義がむしろ高まっている。法務担当者は2026年改正行政書士法の最終条文を注視しながら、委託先管理と社内教育の両輪で違反リスクを排除してほしい。
よくある質問
- Q.無資格者が許認可申請を代行した場合、依頼した会社も罰せられますか?
- A.行政書士法の両罰規定により、違反した従業員・委託先だけでなく、使用者である法人にも罰金刑が科される可能性があります。委託先の資格確認が不可欠です。
- Q.行政書士法で禁止されている「無資格代行」の具体例は何ですか?
- A.農地転用申請・産業廃棄物処理許可・帰化申請など官公署への書類作成・提出手続きを、報酬を得て行政書士資格なしに行うことが該当します。
- Q.2026年改正行政書士法で企業が特に注意すべき点は何ですか?
- A.監督規定の強化と業務範囲の明確化が予定されており、名義貸しや実態のない委託契約への取締りが厳しくなる見込みです。委託契約の見直しが急務です。