要約
デジタル庁が2026年5月にJPKI関連情報を更新。許認可申請のデジタル化が進む一方、行政書士法上の無資格代行・両罰規定リスクが高まっており、法務担当者の即時対応が必要。
デジタル庁が公的個人認証サービス(JPKI)関連情報を一斉更新——行政書士法上の無資格代行リスクが高まる背景
2026年5月18日、デジタル庁は「マイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス(JPKI)導入事業者及び事例一覧」を含む民間事業者向け資料を一斉更新した。これは行政手続のデジタル化が加速するなかで、許認可申請や会社設立手続きをオンラインで行う民間企業・個人の裾野がさらに広がることを意味する。利便性が増す一方、法務・コンプライアンス担当者が見落としがちな問題がある。それが行政書士法上の無資格代行リスクだ。
「便利なツール」が生む落とし穴:無資格代行と行政書士法違反のリスク
JPKIを活用した電子申請が普及すると、社内の総務担当者や外部のコンサルタントが「簡単にできる」と錯覚し、報酬を得て他社の許認可申請書類を作成・提出代行するケースが増える傾向にある。しかし行政書士法第19条は、行政書士でない者が業として官公署提出書類の作成・提出代行を行うことを禁じており、違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金(同法第21条)が科される。さらに両罰規定(同法第22条の2)により、違反行為者を雇用する法人にも罰則が及ぶ点は見逃せない。デジタル化によって「誰でもできそう」な手続きが増えても、業として報酬を得て代行する行為の適法性は変わらない。
2026年改正行政書士法では調査権限の明確化や行政との情報連携強化が盛り込まれており、当局による実態調査能力が向上している。電子申請ログや決済データが証拠として活用されやすくなったことも、摘発リスク上昇の一因だ。
法務担当者が今すぐ確認すべき3つのチェックポイント
まず、業務委託先の資格確認を徹底することが第一歩だ。「申請サポート」「書類作成代行」と称するサービスが行政書士または行政書士法人によるものかを契約前に確認する。次に、社内業務フローの棚卸しを行い、農地転用・帰化申請・産業廃棄物処理などの手続きを無資格の外部業者へ丸投げしていないかを検証する。最後に、委託契約書への免責条項挿入だけでは不十分な点を認識することが重要だ。両罰規定がある以上、委託元企業も処罰対象となりうるため、適切な資格者への委託と内部監査の両輪が不可欠だ。
デジタル化が進むほど、コンプライアンス担当者は「便利さの陰に潜む違反リスク」を冷静に見極める姿勢が求められる。JPKI活用拡大を機に、自社の許認可申請フローを今一度点検してほしい。
よくある質問
- Q.JPKIを使った電子申請を外部業者に委託すると行政書士法違反になるの?
- A.報酬を得て業として官公署提出書類の作成・代行を行う場合、行政書士資格がなければ行政書士法第19条違反となります。電子・紙を問わず適用されます。
- Q.両罰規定とは何か?会社も処罰されるのか?
- A.行政書士法第22条の2の両罰規定により、違反した従業員・委託先だけでなく、雇用する法人も罰金刑の対象になります。委託元企業も注意が必要です。
- Q.2026年改正行政書士法で何が変わったのか?
- A.調査権限の明確化や行政機関との情報連携強化が盛り込まれ、電子申請ログ等を活用した実態調査が容易になったため、無資格代行の摘発リスクが高まっています。